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ポジショニングの本当の目的

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ポジショニングの本当の目的

ポジショニングの本当の目的

2026/05/20

〜「楽な姿勢」をつくることが、子どもの未来につながる〜

 

放課後等デイサービスで支援を行っていると、「ポジショニング」という言葉を耳にする機会が多くあるかと思います。

医療やリハビリの現場では当たり前のように使われる言葉ですが、保護者の方からすると、

「姿勢を整えること?」

「クッションを入れること?」

「寝る向きを変えること?」

というイメージを持たれていることが少なくありません。

 

もちろん、それも間違いではありません。

ですが、ポジショニングの本当の目的は、単に“姿勢をきれいにすること”ではありません。

実はポジショニングには、

  1. 呼吸をしやすくする
  2. 食事を食べやすくする
  3. 痛みを減らす
  4. 身体の変形を予防する
  5. 動きやすくする
  6. 睡眠の質を上げる
  7. リラックスしやすくする

など、子どもの生活そのものを支える大切な役割があります。

 

今回は、「ポジショニングの本当の目的」について、できるだけわかりやすくお話していきたいと思います。

 

そもそもポジショニングとは?

 

ポジショニングとは、簡単に言えば、「その人ができるだけ楽に、安定して過ごせる姿勢をつくること」です。

ここで大切なのは、“正しい姿勢”を無理やり作ることではない、ということです。

例えば、

  1. 身体がねじれている
  2. 筋肉が緊張しやすい
  3. 反り返りが強い
  4. 左右差が大きい
  5. 関節が硬い

こうした特徴がある子どもに対して、「真っ直ぐ座らせよう」と無理に修正すると、逆に苦しくなってしまうことがあります。

 

大切なのは、

「その子が一番楽に呼吸できるか」

「安心して過ごせるか」

「身体への負担が少ないか」

という視点です。

 

では、なぜそこまでポジショニングが重要なのでしょうか。

 

それは、姿勢が身体全体に大きく影響するからです。

 

私たちも、長時間無理な姿勢でいると、

肩がこる

腰が痛い

呼吸しづらい

疲れる

ということがあります。

 

これは重症心身障害児や脳性麻痺児でも同じです。

むしろ、自分で姿勢を調整することが難しい分、影響はさらに大きくなります。

特に、自力で寝返りが難しい、座位保持が難しい、同じ姿勢が長時間続く

という子どもたちは、身体に負担が集中しやすくなります。

 

その結果、股関節の変形、脊柱側弯筋肉の拘縮、痛み、呼吸障害

などにつながっていくことがあります。

 

つまり、ポジショニングは“姿勢の問題”ではなく、“生活と健康の問題”なのです。

 

呼吸とポジショニングの深い関係

 

ポジショニングで特に大切なのが、「呼吸」です。

実は、姿勢が悪いと呼吸はとても苦しくなります。

例えば、身体が丸まりすぎる、首が後ろに反る、胸がつぶれる、左右どちらかに傾く

こうした姿勢になると、肺が広がりにくくなります。

 

すると、呼吸が浅くなる、痰が増える、疲れやすい、酸素が入りにくい、という状態になります。

 

特に医療的ケア児では、呼吸状態が生活の質に直結します。

「なんとなく姿勢が悪い」ではなく、“呼吸しやすい姿勢をつくる”ことが非常に重要なのです。

 

ポジショニングは、食事にも大きく影響します。

 

例えば、首が反っている、身体が横に傾いている、骨盤が不安定、この状態で食事をすると、飲み込みが難しくなります。

 

すると、むせやすい、飲み込みにくい、食事に時間がかかる、誤嚥しやすい、という問題が起こります。

 

逆に、骨盤が安定する、頭の位置が安定する、身体が支えられる、だけで食べやすさが大きく変わることがあります。

 

つまりポジショニングは、「姿勢の調整」ではなく、“食べる力を支える”ことにもつながっているのです。

 

「反り返り」が強くなる理由

 

脳性麻痺児などでよく見られるのが、反り返りです。

実はこれも、姿勢の不安定さが関係していることがあります。

 

例えば、身体が支えられていない、不安定で怖い、力が入り続ける、こうした状態では、子どもは無意識に身体を緊張させます。

 

すると、首が反る、足が突っ張る、身体が伸びきる、という姿勢になりやすくなります。

 

これは「わざと」ではありません。身体が不安定だからこそ、緊張してしまうのです。

 

逆に、骨盤が安定する、身体が支えられる、安心できる、ことで力が抜けやすくなることがあります。

 

つまりポジショニングは、“緊張を減らす支援”でもあるのです。

 

時々、「楽な姿勢ばかりだと弱くなるのでは?」「頑張って座らせた方がいいのでは?」という声を聞くことがあります。

 

もちろん、活動の中で身体を使うことは大切です。ですが、ずっと頑張り続けることはできません。

私たちも、ソファで休む、横になる、背もたれを使う、ことがあります。

 

それは“怠け”ではなく、身体を休めるためです。

障害のある子どもたちは、私たち以上にエネルギーを使っています。

 

座っているだけでも、バランスを取る、緊張と戦う、姿勢を保つ、という大きな努力をしています。

 

だからこそ、「頑張る時間」と「楽に過ごす時間」の両方が必要なのです。

 

成長期の子どもは、骨がどんどん成長します。

ですが、筋肉の緊張や姿勢の偏りがあると、身体に左右差が生まれます。

 

すると、股関節形成不全、脊柱側弯、骨盤の傾き、などが進行することがあります。

 

特に、同じ向きばかり、同じ姿勢ばかり、長時間の偏った姿勢、は変形を進める原因になります。

 

もちろん、ポジショニングだけで完全に防げるわけではありません。

ですが、負担を分散する、圧を逃がす、左右差を減らす、ことは非常に大切です。

これは将来的な痛み予防にもつながります。

 

小さい頃は、柔らかい、動ける、抱っこしやすい、ため、大きな問題が見えにくいことがあります。

 

ですが成長すると、体重が増える、骨が硬くなる、変形が固定される、ことで一気に問題が目立つことがあります。

 

「昔は座れていたのに」「前は抱っこしやすかったのに」というケースは少なくありません。

だからこそ、小さい頃からの姿勢づくりが大切になります。

 

ポジショニングは、“今のため”だけではなく、“未来のため”の支援でもあるのです。

 

ポジショニングでクッションを使うことがあります。

 

ですが、ただ入れれば良いわけではありません。

例えば、入れすぎて苦しい、首が埋もれる、動けなくなる、逆に変な力が入ることもあります。

 

大切なのは、「その子がどう感じているか」です。

 

  1. 呼吸は楽か
  2. 表情は穏やかか
  3. 緊張は減っているか
  4. 痛みはないか

を見ながら調整する必要があります。

 

ポジショニングは“形”ではなく、“状態”を見ることが大切なのです。

 

実は、ポジショニングには絶対的な正解がありません。

 

同じ診断名でも、緊張の入り方、骨格、呼吸状態、好きな姿勢は、一人ひとり違います。

 

だからこそ、「この姿勢が正しい」ではなく、「この子に合っているか」が大切になります。

 

そして、その時の体調や成長によっても変わります。

以前合っていた姿勢が、半年後には苦しくなることもあります。

そのため、定期的に見直していくことが重要です。

 

私たちが支援の中で大切にしているのは、「楽に過ごせること」です。

 

頑張らせるだけではなく、安心できる、呼吸しやすい、リラックスできる、痛みが少ない、そんな時間を作ることを大切にしています。

 

そして、それは活動の質にもつながります。

身体が苦しい状態では、集中できない、遊べない、笑えない、からです。

 

逆に、楽な姿勢で安心できると、表情が増える、動きが出る、周囲に興味を持てる、ことがあります。

 

ポジショニングは、“ただ寝かせる技術”ではありません。

その子の生活そのものを支える、大切な支援なのです。

 

最後に

 

ポジショニングというと、「難しそう」、「専門的すぎる」と感じるかもしれません。

ですが、本当に大切なのは、“その子が楽かどうか”です。

 

  1. 呼吸しやすい
  2. 食べやすい
  3. 痛くない
  4. 安心できる

 

そんな時間を増やしていくことが、子どもの生活を支えていきます。

そして、それは将来の身体づくりにもつながっていきます。

 

私たちも、一人ひとりに合った姿勢を考えながら、日々支援を続けています。

これからも、「頑張る」だけではなく、

“楽に過ごせること”

を大切にしながら、子どもたちと関わっていきたいと思います。

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